考える大人になるためのTOC for Education 国際資格認定プログラム に参加してきた #tocfe
- 8月16日 考える大人になるためのTOC for Education 国際資格認定プログラム
- 教育のためのTOC 日本支部 コミュニティ
- 2012/08/16〜2012/08/19 考える大人になるためのTOC for Education 国際資格認定プログラム #tocfe - Togetter
『TOC』というキーワードはちょこちょこと個人的に聞くようになってましたが、『これは!』と認識したのは今年4月に行われたTOC Boot Camp。(ちょうどこの日は関東におらず、参加はしてませんでした)
ここからTOCであったり関連するキーワードを目にしつつ、夏本番を前にしてこちらのイベント開催告知がなされていたので、有料&割と長期間(平日2日を含む計4日間)でしたが申し込み。時期的なものもあり、夏期休暇取得がてら参加してきました。
開催場所は東京ウィメンズプラザ@表参道。表参道駅から程なく歩いたところにあります。人の多さ的には、やはりお盆真っ只中という事もあり、若干まばらだったような気がします。
個人的に、TOCについてはこの時点で特に事前知識なし。(だいぶ以前に『ザ・ゴール』を読んだ記憶があるものの、だいぶ前過ぎて完全に忘れてた) 幾つか予習のための情報を教えてもらったりもしましたが、忙しさもありあまり予習的な事は出来てない状態での参加となりました。
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TOCに関するスライドについては、以下に関連するアカウント(TOC for Education, Japan Branch)で資料がまとまっています。
また、Web記事などでは以下のものあたりが分かりやすいかも?一番上は公式的HP。
- 教育のためのTOCについて | 教育のためのTOC 日本支部 コミュニティ
- TOC(theory of constraints) − @IT情報マネジメント用語事典
- 生産管理講座 - TOC(制約条件の理論)
- TOC 制約理論のひろば
こちらのイベント、計4日間併せてのイベントとなりますので参加レポートの方も日付毎に書き記し、それを1つにまとめる形を取ろうと思います。
<目次>
2012/08/16(木) Day1
この4日間は、基本初日に渡されたテキスト及びそれに合わせた(概ね内容が同じである)スライドを用いての講演+個人やグループでのワークショップという流れで作業を進め、理解を深めていく形となってました。
初日は『教育のためのTOC』(TOC概論的な内容)、そしてTOC『ロジック・ブランチ』について。
概要部分については、日本TOC推進協議会理事 岸良 裕司さんがご講演。
そして、以下は岸良さん講演部分のざっくりメモ。
- TOC: 本物感の知識体系。
- OSSのようなものである。どんどん使って行って結果を出す。
- TOCは思考プロセス。
- 本質的には、たったひとつの事に辿り着く。→『人に、考えることを教えたかった』( by エリヤフ・ゴールドラット:TOC理論創始者 )
- エリヤフ・ゴールドラット - Wikipedia
- 今回、何のために参加しているか。その目的は人それぞれ。
- 教育って、実はすごいこと?
- 自分自身が理解するより、人に教える事の方が遥かに難しく、遥かに高度なものである。
- 人に教えられる事、を身につける。
- 我々(運営スタッフ)の期待
- 学んだことを使って、人に教えて欲しい。
- それが、自分の一番の勉強になる。
そしてその後、TOC for Education, Inc. 会長(!) キャシー・スエルケン氏 による講演及びワークショップの時間が続きました。氏の詳細プロフィール等は以下のPDF資料が詳しいです。
講演:なぜ「教育のためのTOC」か?
TOCで検索掛けてみたところ、以下のスライドが引っ掛かったのでUP。
上記内容については同時通訳付きで解説・進行しておりました。通訳者はatsumi shibata (JibrielShibata) さん。お疲れ様でございました。参加者からの意見に関しても氏に淀みなく伝える会話力、素晴らしかったです!
講演&ワークショップ:ロジックブランチについて
TOCの思考ツールの1つである『ロジックブランチ』についてのレクチャー。
講演内容の詳細については伏せますが、『(ロジック)ブランチ』に関しては以下のサイトが詳しいです。ご参考までに。
- 1.ガイド付き練習
- 2.グループ練習
- 3.個人練習
- 4.ふりかえり
- 5.フィードバック
- 6.評価
という形で『教育のためのTOC』におけるコーチング・サイクルが定義されているのですが、この日はロジックブランチについて1,2まで実践する形となりました。
幾つかの例題テーマについてサンプル的に実践→実践結果の発表を行った後は、とある書籍に掲載されている文章から、グループでロジックブランチを作成。
うちのグループはまず手分けして文章を区切り、付箋に書き出し。その後文章を読み解きながらディスカッションを重ねて付箋を位置移動・内容変更したりして情報を整理して行きました。以下の写真がその結果。文章要素の他に関係性を示す矢印なども付箋で代用し、窓に直貼りして内容を整理して行きました。この方法は議論が進んだ際に迅速に・手軽に状態を変更出来ていたのでこれはこれでアリだったな〜と思います(笑) あとこれは終わってから気づいたのですが、やはり記述の際にはサインペン的な太めのペンが必要ですね。(視認性の観点から)
文章を読むだけでは欠けている部分、論理の飛躍が見られる部分等もあったりしましたが、逆にこの点については単純に文章を読んで理解するだけではカバーし切れないであろう部分でもあり、複数人で作業を行うことで見えてくる部分でもありました。この点についてはツールの有用性を学べたな〜と思います。
また、グループワークを行うことで、メンバーの異なる意見に結果がさらされ、結果色々な学びがあるのだ、という点を岸良さんがコメントしておりました。まさにこの点もグループワークで実感したところです。
残り時間が見えてきたところで、3〜4つのグループが当ワークショップの成果を発表し、タイムアップ。(16:45) 翌日の予定を確認しつつ、お開き。
ワークショップ終盤、〆の言葉的に岸良さんが「ファシリテーターは、愚直に質問することが大事。『◎◎になったら△△になるんですね?』と。(過去には)これだけで学級崩壊を防いだという人もいた。」という事を話しておられました。確かにグループワークでも、みんなしてグループで作ったブランチの内容を適宜読みつつ、不自然な部分についてはディスカッションを重ねて情報を洗練させていく、という作業を実践しその効果の程を感じ取っていたので、これらツールを使って『人に教えるスキル』を習熟したファシリテータであれば、そういう奇跡的展開もありえるのだろなぁ、という気にさせられます。
2012/08/17(金) Day2
この日も1日目に引き続き、『ロジックブランチ』に関する講演及びワークショップ。1日目に学んだものに加えて、新たなツール(考え方)をまずは学び、その結果を1日目に作成したロジックブランチに対して反映させ、成果物をより洗練していくという流れで進んで行きました。
質疑応答(主に昨日の内容に関して) 9:30〜
…とその前に、1日目終了時点で幾つかの興味深い質問が挙がっていたという事で、その質問に対して岸良さんやキャシーさんが答えていくという質疑応答タイムが設けられました。メモしうる限りで以下列挙。
- Q.『行間を読む』という事について。先日のワークショップでは流れを1本にまとめようとして失敗してしまった。…そもそも『行間を読む』とは?また、その(行間を読むという)過程において、限度や判断基準などがあれば教えて欲しい。
- (A).今回のワークショップでは、参加者の皆さんが親しみやすいようなものをテーマとして挙げました。
- 我々が目にしているものの多くは、正しく、完全に揃っている訳では無い。
- TOCではそういう状況をどうやって打破していくか?を学んで行きます。伝播させて行きます。…というか、まさにそこが今日のアジェンダなんですよ!(笑)
- [質問]足りないところをどうするか、どこまでやれば良いか?
- E.ゴールドラット氏は『良い加減』と言っている。1歩目を踏み出せるところまでで良い。
- 事前条件(パラメータ)が多い場合、全ての事象を求める事は出来ない。(バタフライ・エフェクト)
- 『Good Enough(良い加減)』、そして『Reality tells (現実が教えてくれる)』。
- これらの諸問題を解決するのに、これから学ぶ『CLR』というものが役に立ちます。
- (A).今回のワークショップでは、参加者の皆さんが親しみやすいようなものをテーマとして挙げました。
- Q.岸良さんの本でワークショップを実践していたが、今回TOCfEに参加してワークショップをグループでやることでツールの有効性を再確認した次第です。これらを自分の会社に導入・共有したいと思うのですが、関心がない人達をどうやって集めて、ディスカッションさせる(しかも2〜3時間以内に)にはどうすれば良いでしょうか?
- (A).まずそこ(質問者が持っているコンテキスト)に、共通の問題はありますか?
- 持っているのならば、その問題を解決することに、その時間(及びTOC)を使えば良いのではないでしょうか。
- 自分の責任範囲が及ぶところで、実践してみるのです。そこでツールが状況打破に役立ちます。
- (A).まずそこ(質問者が持っているコンテキスト)に、共通の問題はありますか?
- Q.グループワークで論理的思考を行う以前に、『言葉の定義』の確認が必要となる場面があった。しかしそこをはっきりさせようとすると、そこに時間が割かれてしまい本質からズレて行ってしまう気がする。そういう時はどうすれば良いのでしょうか?
- (A).それもまさに今日やろうと思っていたところなのです!(笑)この後やります。
講演&ワークショップ:ロジックブランチ(続き)
ここからはロジックブランチの前日からの続き。
ここでは『正当な懸念のカテゴリー』(CLR)と呼ばれる分類法を用いて学びました。そのCLRを用いて前日に作成したロジックブランチを要素毎に精査し、議論し、更に良い物にブラッシュアップしていく。そんな流れで進みました。
TOCfEでは
- 『明瞭性』
- 『存在』
- 『因果』
- 『十分性』
という4つの要素に対する懸念を以って、ロジックブランチを洗練させていきます。そのどれもが攻め方としてはシンプルであり、誰でも簡単に使い始められる(且つ、突き詰めると奥が深い)等と言った有効性・有用性が各所に散りばめられていました。(※これ以上の内容については割愛。)
時間的にはちょうど昼休みを挟む頃でしたので、昼休みを挟んで昨日作成した資料をブラッシュアップさせるべくグループで作業。
先日からの反省点・改善点、そしてCLRを用いてブラッシュアップさせた結果がこちら。
1日目の時点でも割と整理出来てるな、とは思ってたのですが、やはり見なおしてみるといくつか改善出来そうだなという部分が見つかってくるもんですね。
そして再度、幾つかのグループの成果を発表。同じテーマであるのにも関わらず、出来たものはどれもそれぞれ違っている(そして同じ結果に収斂している)というのが興味深いところです。
発表後はロジックブランチにおける『ネガティブ・ブランチ』の活用、『責任ある意思決定』などについて学びました。(※こちらも詳細は割愛。) こちらのテーマに於いても、事例として小さい子供がやってみて、見事ゴールを達成出来た!というような話がピックアップされてました。扱える、というのも重要ですが、自ら自発的に取り組むようになった、というのは驚くべき効果です。
CLRを学び、グループワークでロジックブランチを洗練させた後に設けられた質疑応答に関しても興味深いコメントがあったりしましたので、こちらも可能な限りメモ。
- 仮定を検証する…ゲームのように楽しめる側面も。
- 作成したものを読み上げる事で、意見が出やすくなる効果がある。
- CLRを踏まえて見なおした成果について:
- CLRの疑念のツールを使って要素を確認したことで、ツリーが非常にリッチになった。
- 疑念を解消するために調査を加えたことで、各結果が全く異なる成果となった。
- また、色々な意見を取り入れているにも関わらず、拡散せずに1つの方向に集約されている。
- 学校のような場所でこういう自由な事をさせるのは、(先生からすると)あまり好まないかもしれない。
- なぜなら、十分に拡散の可能性があり、まとまらない展開も予想出来るから。
- でも、ここでは起きなかった。
- ブランチを使うと、そういった事は起きない。様々な意見を取り入れながらも、脱線しない。
- そして、ブランチのギャップを埋める事が出来る。
- 子供たちに、もっと『調べる』という事を推奨出来ると思います。パズル、ゲームのように楽しめるし。
- みなさんもブランチを使うことの有効性が証明出来たと思います。おめでとうございます!
そして改めての質疑応答タイム。
- Q.もし◎◎ならば△△である、というフレーズは『仮定』の場合で使うもの。なぜこれを、ツールとして採用しているのでしょうか?
- (A).(岸良さん、逆に質問)今日(または今回のこの期間)で主に学ぶ事って、何でしょう?
- 論理的に考える→論理的に確認出来れば良い、という感覚。論理さえチェック出来れば良い。TOCはそういうものです。
- (英語の場合、if ... then ... となり、もうちょっとしっくり来るんですが…)
- (A).(岸良さん、逆に質問)今日(または今回のこの期間)で主に学ぶ事って、何でしょう?
- Q.今回取り組んだワークショップ、短いセンテンスにもかかわらず、各グループで結果が異なっていた。『違う=理解が違う』という風に捉えると良くない事なのかもしれないけど、何で『違う』事が良い、となるのか?
- (A).E.ゴールドラット氏のコメント
- では逆に、全員が判で押したような回答をした場合、どう思うだろうか?→気持ち悪い!
- →あるべきだと思っていた事が、実は間違っている。
- では、めちゃくちゃ違っていたら?→これも困る。
- 今回のワークショップの結果、めちゃくちゃでは無いが、(良い度合いで)異なっている。ちゃんと分析出来ている。
- 『極端に聞く』というのは、良い/面白い考えが出てくるのでオススメ。
- では逆に、全員が判で押したような回答をした場合、どう思うだろうか?→気持ち悪い!
- (A).E.ゴールドラット氏のコメント
- Q.CLRは7つ項目がある、という事を聞いた。なぜTOCfEでは4つなの?
※ちょっとここで、TOCを含めた体系・概要に関して、用語が幾つか出てきて若干混乱していたので同じグループに参加されていた有識者の方々に、ざっくりではありますが伺うことが出来ましたので併せてメモ。
TOCならびに、関連する要素の関係性としてはざっくり以下のとおり。TOCから関連したプロセスは幾つも枝分かれしているわけですね。
TOC | (theory of constraints): 生産管理・改善のための理論体系。 エリヤフ・ゴールドラット博士が提唱 |
└思考プロセス | 組織が目的達成に向けて活動するうえでの本質的な問題を発見し、 組織的に解決していくプロセスを提供 |
└CCPM | (Critical Chain Project Management): 全体最適化の観点から開発されたプロジェクト管理手法。 |
└DBR | (Drum Buffer Rope): ボトルネック工程(制約条件工程)にフォーカスし、 ボトルネック工程の能力を最. 大限に発揮させる生産管理手法 |
└TOCfE | (TOC for Education): 教育分野の為のTOC。子供が効果的に考え、 コミュニケートできるようにすることで、子供の教育を劇的に改善 |
イベント内でも、『ジョナ読んでいる?』という言葉を時折耳にしましたが、これについては、
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- 思考プロセスに関するトレーニングが提供されており、これが通称『ジョナ・コース』と呼ばれているものになる。
- よって、『ジョナ持ってる?』=『ジョナコースのトレーニングを受けている』となり、『読んでいる?』=『関連するテキストを読んでいる』となる。
という事らしいです。
CLRの数については、以下の資料にて確認が出来たので項目内容だけ抽出。
(1).意味の明瞭性 (2).エンティティの存在 (3).因果関係の存在 (4).原因の不十分 (5).追加の原因 (6).因果逆転 (7).予想される結果の存在
これらの7つから、TOCfEに於いては要素を絞り、4つにした、という事らしいです。
2012/08/18(土) Day3
この日は『クラウド』について。IT業界での『クラウド』の意味するものでは無く、『対立解消図』の役割を担う、TOCの思考ツールのひとつです。
質疑応答
まずは前日までの内容に関する質疑応答。
- Q.TOCの内容は分かった。ではその先、どうすれば出来るようになるのか。
- 追求の部分に関して
- それによって何が分かったのか。具体例などあれば教えて欲しい。
- (A).その前に補足説明を…
- "指示の使い分け"というのは『指導を使い分ける』の意。
- 定義(作成した):異なるスキル、知識を有する場合、指導を使い分ける。生徒に合わせたレッスン内容を組み立てる。
- →この場合、当然カリキュラムも変わるし、取り組み方も変わる。
- →このクラス(TOCfE)もそう。様々な職種、経歴、経験(TOCの)人が集まっている。
- ※全てのニーズに合わせた事をしないといけない。
- 先生は『指導を使い分けないといけないのでは?』と思っている。ただ、時間やリソース、制約を上手く使わないといけないし、大変に困難。
- 皆のニーズを満たしたい。一方で自分のニーズも満たしたい…→様々な対立がストレスとなる。
- 定義(作成した):異なるスキル、知識を有する場合、指導を使い分ける。生徒に合わせたレッスン内容を組み立てる。
- "指示の使い分け"というのは『指導を使い分ける』の意。
-
- ここまでで、ツールを使って向上した事はまだ1つ。(※ロジックブランチ)
- クラウドを使えば、指導を使い分ける必要が無くなるのである。これは非常にパワフル。
- ※『指導を使い分ける』というのは、世界共通の問題でもある。指導者も、先生も、親も。
講演&ワークショップ:クラウド
先述の通り、ロジックブランチに続く2つ目のツールは『クラウド』。諸問題にまつわる『ジレンマ』・『対立』を解決するためのツールになります。
クラウドに関する概要はこの辺をご参照ください。
テキスト講演の内容は割愛しますが、この『クラウド』、先日の『ロジックブランチ』よりも頭を使い、悩む(考える)ところが多いです。
『◎◎だから△△するんだ』という意見が対立する場合、また自分の中でもどちらの選択肢を採択するべきか、悩んでしまうような場合。そういう時にその要素を分解し、振り分け、確認検証し、そこから新たな一歩を導き出す。簡単なようでいて、実は結構難しい。
ファシリテータの方々にも幾つかアドバイス頂きましたが、振り分けのための定義があり、そこの振り分け基準を理解(腹オチ)してしまえば何てことなくなるし、強力なツールと成りうるのだそうです。実際参加されている他の方々もこの『定義』の理解、要素の振り分けには悩んでおられる方が多かったです。(自分も悩みどころが多かった)
自分でも幾つか挙げてみたけれど、『◎◎したい』というものに関しては結構列挙出来たのですが、それに関する対立関係などがあるか?となると微妙なところで、対立軸を設けて展開するという部分についてはちょっと弱いな〜という感じでした。そもそも対立構造があるような悩みや事象が現在あるのかな?という気もしましたが、この辺は恐らく考え方・見方の違いによってその構造に気付けてないというのもあると思いますし、クラウドツール自体の訓練が足りない部分もあると思います。
使い方については後日また要点を整理し、時間を見つけて問題点等を分析して見ようと思います。
また、後半では、グループワークであるお題のクラウドを実践。
ここでも、『挙げた項目を言葉に出して読んでみる(そして内容的にしっくり来るか確認する)』という行動は、とても有効であるのだな〜と実感。頭の中だけで考えてるだけではどこか端折ってしまっている部分もあるでしょうし、複数人で実践することで様々な視点からの意見、気付きが得られ、より見通しの良いものになりました。
2012/08/19(日) Day4
まずは事務連絡。TOCのコミュニティサイトの紹介がありました。活用事例、スライド、動画等盛り沢山のコンテンツですので、是非一度目を通してみてはいかがでしょうか。
前日までの内容に関する質疑応答
- Q.ブランチとクラウド、どのような場面で使うのか?
-
- (キャシー):どうやって考えるかの部分をブランチを使っている。良いと思います。
- このツール、そもそも、問題を解決するために使う。
- 上手くコミュニケーションしようとするそれ自体が問題となる場合もある。
- 何を考えているか、伝えたい事を因果関係を上手く示すことによって、何を考えているのか等が明確になる。
- ※私が絵にするのはこういう事だ、こういう事を言いたいのだ、と言うことのツールとして使う。
- どういう因果関係で説明、出来るようになり、諸問題を防ぐ事が出来る。
- 実際、子供たちに教えているけども、子供が両親に伝える時の諸問題を防ぐことも出来ている。
- そういう意味で、ブランチそのものは対立を起きることを事前に防ぐことのツール。
- クラウドは一方で、起こってしまった事象を解決するためのツール。
- このツール、そもそも、問題を解決するために使う。
- (キャシー):どうやって考えるかの部分をブランチを使っている。良いと思います。
-
- 時として、子供がブランチを使って表現する事もある。
- 正しい1つの答えが有るわけでは無いが、ツールは解決に役立つかもしれません。
- 時として、子供がブランチを使って表現する事もある。
-
- (追記)行政のマネジメントで指摘を受けた
- 1つのアイデアを決めるときに、ネガティブブランチを書いて副作用が起こらないかどうかを検証する、というのも効果的。
- (追記)行政のマネジメントで指摘を受けた
- Q.朝、岸良さんと話して『岸良さんが人と違うのはCLRの鬼、という点なのではないか』と個人的に思った。CLRを検証されない場面がまかり通っているこの世の中。これから家に帰って日常に戻った時にCLRが抜けていきそうで怖い。それぞれの生活に戻るなかで、どうやっていけば『CLRの鬼』になれるのだろうか?
- (A).私も全く同じイメージを持っていた。CLRを使っていた事が有効に機能していた
- 4つのキーワードを頭の中に留めて、自分の脳内・会話・メールでそのキーワードを意識してチェックする、ようにはしたいなと思った。
- (A).習った事を使うために一番大事なのは『練習すること』。出来る、最も簡単なことから始めよう。
- (A).E.ゴールドラット曰く、『岸良さんボディビルダー知ってるか?彼らは毎日トレーニングして筋肉をつけるんだ。毎日やることによって、出来るようになってくるんだ、ビルディングマッスルしてるんだよ』
- 誰でもあなたを天才というようにはなるだろう。
- ブレインビルダー(Brain Builder)ってのもありかもしれない。
- (A).私も全く同じイメージを持っていた。CLRを使っていた事が有効に機能していた
- Q.自分では良いと思ってたものでも、人から見るとまだまだな成果。about 作成クラウド他人には見せられない、自信がなかったりする。個人でGood Enoughである、という判断をどうやってするべきか。
また、このタイミングで、幾つかのクラウド作成事例についての発表がありました。
- TOC参加、ファシリテータを行なって会社に広めようとしたけど、失敗した、というクラウド。
- やった事:
- 成果を出す。報告する。でもTOCを使ったとは言わないでおく。
- 毎日15分ツールを使う。
- 輪は徐々に広がっている。
- もう1つ、3日目の本編終了後、別の集まりでも同様にクラウドをやった。
講演&ワークショップ:『アンビシャス・ターゲット・ツリー』
TOCfEで学ぶ3つめのツールは『アンビシャス・ターゲット・ツリー』というものです。個別の記事なりエントリは無いようですが、以下にツールに関する記載があります。
テキストから引用すると、ツールの機能・意味としては以下のような感じになります。
- 前向きで大変望ましい目標をアンビシャス・ターゲットという。その達成には困難が伴うため、挑戦しがいがあると仮定されている。
- アンビシャス・ターゲットを達成するための戦略的計画を立案するためのTOCの思考ツールをアンビシャス・ターゲット・ツリーと呼ぶ。
手順としては以下の様な流れ。
- アンビシャス・ターゲットを特定し、明瞭に定義する
- 目標達成を阻害する障害を洗い出し、リスト化する
- 障害に基づき、中間目標を定める
- 中間目標を整理する
- 中間目標に行動を加え、具体化する
こちらに関しても、例によって本講演の詳細な内容は割愛。これまで通り、昼休みを挟んでグループワークを実践。時間の都合によりグループとしての結果を定めるまでは辿り着きませんでしたが、作業の過程でクリエイティビティが刺激され、非常に面白いアイデアが出る一面もあったりしました(みんな、楽しそう〜に作業に取り組んでいたのが印象的でしたね。)結果としてはこんな感じ。
事例発表など
グループワークの後は、フィナーレに向けて事例発表などが幾つかありました。
- キャシーさん曰く:
- TOCのツールは、幼稚園児でも使えるくらいにシンプルである。
- 会社で、学校で、上司と部下と。是非使っていってください。
1つ目の事例発表は、『犬島アートプロジェクト』と呼ばれるもの。美術館に関する諸々の取り組みにTOCを取り入れました。
2つ目の発表事例は『学級崩壊解消』の事例。多くの先生が学級崩壊に取り組み、精神を病んでしまったという状況に対し、TOCを取り入れ、環境を改善して行きます。
- 先生の声は聞こえてくるけど、子供の声は…?この問題は一体誰が当事者なんだろう?
- ある子ども:ホントはみんなと仲良くなりたいんだ。
- →騒いでいる子に親切にする。という対応方法を取る。
- 学級崩壊、完全には治らなかったけど、チームが出来るなどの効果が出た。
- 子供たちのスキルがあがった、自分で考えるようになった。
学級崩壊自体は完全に解決出来た訳では無かったようなのですが、効果は他の場所にも現れてきたようです。以下は学年が変わった後の事例。
- 『どうして雨が降るの?』というクラウドに取り組む:子供たちが自ら過去の経験を照らし合わせるなどして、学ぶようになった。
- 『死刑制度とは?』というクラウドに取り組む:死刑制度のみならず、命の価値、社会を取り巻く状況に関しても自ら考えを張り巡らし、議論するようになった。
- 人に教える=自分が教わる、勉強になります。より深い勉強を。
- 去年勉強したけど、分かってなかったよね?→やってみてわかる。
最後に
4日間の講習もいよいよフィナーレへ。岸良さんから『TOC Certifier Process』という制度への取り組みに関しての発表(お知らせ?)がありました。TOCfEのファシリテーターを増やし、TOCをより多くの人々に知ってもらおう、学んでもらおう、という取り組みに関して、ロジックブランチを使って説明。この話の中で、ファシリテーターの皆さん自身、キャシーさんによって自らこのテーマに取り組み、TOCを(この4日間の講習の前に)実践したのだそうです。
また、2012年10月には、TOCfEの国際大会が開催されるそうです。Keynoteはラミ・ゴールドラット。TOC創始者、E.ゴールドラット氏の息子さんです。イベントの詳細は下記サイトの『Announcements Information on TOCFE Conferences』から。(画像右下)
キャシーさんからは、最後に1995年、ミドルスクールの先生だったころに作成したクラウド(ゴールドラット氏に見てもらったらしいです)についてコメント。『このクラウドに関して、今現在は問題はありません。希望を持っています。それは皆さんです。アリガトウ。』と素晴らしいコメントを頂けました。
岸良さんからは、『ウサギとキリギリス』(ウサキリ)のお話。この2種の動物、実はそれぞれのお話(ウサギとカメ/アリとキリギリス)では"負け組"。その2匹を以てTOCの何たるかを解説するための導入としているようです。
TOCを分かり易く説明しているスライド資料としては以下の資料がオススメ。"ウサキリ"はここで登場しているのが始まりのようです。(ちなみに、絵については岸良さんの奥さんによる『家内制手工業』によるものだそうです(笑))
最後はE.ゴールドラット氏の言葉/動画、4日間講演頂いたキャシーの言葉で締め。(※この後、参加者全員集合写真も撮りました。)
認定証授与式・懇親会
認定証授与式及び懇親会は同会場地下2階の会場を貸し切って開催。懇親会では4日間共に頑張った仲間たちが至る所で話に華を咲かせておりました。改めて、普段参加してるIT勉強会の参加者層とは異なり、本当〜に色々な業種業界、年齢層の方々が集っていたイベントだったんだな〜と実感。色々刺激的な話も聞けました。
懇親会開催と併せて、1人ずつ名前を呼ばれてキャシーさんから直接認定証を受け取りました。懇親会の喧騒で正直名前が呼ばれているのに気付かず、って人も結構居た模様(笑)
今回のTOC(TOCfE)に関しては、思考整理や問題解決のツール・考え方として、何か有用な気付きやノウハウを得られれば良いかな〜、という割と軽め?な気持ちで臨んでおりました。実際その辺の部分は満たされた感はあるのですが、今回それ以上の深い感銘、大きな気付きを得られたような気がしてます。4日間の中で得られたものを考えると、約3万円という料金は確かに安過ぎる!という感じですね。
TOCfEで紹介された以下のツール、
- ロジックブランチ
- クラウド
- アンビシャス・ターゲット・ツリー
これらに関しても、『子供でも使える』とは言いつつも実際にツールそれぞれの使い道を把握し、効果的に役立てている/役立てられる状態にあるとは言い難いです。これらについては講演で使ったテキストを復習し、使い方を再度学んでしばし慣らして行く必要はありそうです。
これらTOC及びTOCfEに興味をお持ちの方、教師や上司等、『教育』に疑問や不安を抱えているような方々は特に、今後関連イベントが開催された際には参加してみてはいかがでしょうか?より効果的な気付きや発見が得られる機会になると思います。
今回来日&御講演頂いたキャシー・スエルケンさん、4日間のイベントの中で沢山の大いなる気付き、発見を得られるようなコメントを連発されていらした岸良さん、数々のワークショップを円滑にサポートして頂いたファシリテーターの皆さん、そして今回のイベントに参加された全ての皆様、ありがとうございました!!