DevLOVE2012 Day1 Vol.2:Social Change 〜ソフトウェア開発者が経営者になるまでと、これからの戦略〜 / 倉貫 義人氏 #devlove2012 #devlove2012a


2012/12/15(土) 13:00 - 13:50
Social Change 〜ソフトウェア開発者が経営者になるまでと、これからの戦略〜 / 倉貫 義人氏

戦略。それは経営者だけの言葉ではない。

なぜならば、自分の人生のオーナーは自分自身であり、自身を資源として、何を目指すのかを考え、
そこに至る道筋を考えなければいけない。 それは、まさしく戦略である。

私の辿ったソフトウェア開発とそれをとりまく世界での経験をもとに、
ソフトウェア開発者がその未来戦略をどう考えれば良いのか、をお話します。
  • 前座無しではじめます!
  • 大分色々な所で講演させてもらいました。今日は今年1年分をまとめた。スライド90枚、多分終わらないw
  • なので早口で行こうと思います。
  • サービスと導入先:
    • 大きな会社に色々導入させてもらっている
    • 総ユーザー数:10万人位には使ってもらえている
    • 社員数:7人。社長副社長を除くと、現場で働いているのは5人。
      • 小さい人数で大きな仕事、かっこいいでしょ?
      • アジャイル x Ruby x クラウド
        • (Rubyに関する説明をしようと思ったが)まつもとさんの前でRubyの説明なんて…w(※直後のセッションで講演されるまつもとゆきひろさんが倉貫さんのセッションを聞いていた為)


  • ソニックガーデンのマーケット領域
    • 納品しない受託開発を掲げている
    • ソニックガーデンで開発しているソフトウェアの特徴
      • 所有から利用へ。
      • 完成から持続へ。
      • ソニックガーデンでは、自社企画も受託開発も、『ソフトウェアそのもの』を売るのでは無く、『ソフトウェアが使える事』を売っています。
  • これまで経験した変化
    • キャリアの紹介
    • 戦略とは何か…取捨選択。
      • 戦略を何で選べるか。
      • 過去と未来を結ぶのが戦略。
学生時代
  • ベンチャーで働きプログラミングに夢中に
  • 研究室の仲間たちとフリーソフトを開発
  • インターネットで世界と繋がる事を実感...自分の作ったものがダイレクトに伝わる。楽しい!
"海岸沿いのSIer"時代
  • 就職先を探してたら、とある海岸沿いのSIerに入った。
    • 99年ごろから技術重要→マネージメント重要、に方針転換。
    • 世代的にガンダム世代。(倉貫さんは)自らをアムロだと思っていた。1年戦争を終わらすのは俺だ!→終わらないorz
    • 色々勉強した。"平鍋"という変な人(笑)に会い、XP本を読んだ。しかし社内に賛同者ゼロ。
    • 社外のコミュニティや勉強会に参加。自分の脳のブレーキを壊す人との出会い。自分からの情報発信が更なる出会いを産む。
    • 脳のブレーキ:
      • 陸上世界大会で2〜3度塗り替えられる世界記録、それまで10年近く塗り替えられなかったのに。
      • 知らずに脳にブレーキを掛けてしまっている。
      • 外に出ていくのはとても大事。
  • 社内では、エンジニアからマネージャー:
    • 直属の先輩でありリーダーの退職
    • マネジメント経験ゼロ、お金も人付き合いも苦手
    • アジャイル開発が教科書
      • 新入社員から育てる、真っ白なキャンバスからアジャイルを教えこむ。
      • 敢えてデスマに入り、アジャイルラクティスをアジャイルと言わずにさせる。
      • 成功したら『実はアジャイルなんですよ。』と初めてそこで明かす。逆に失敗したら...何も言わないw
      • 逆転の発想で乗り切る。
  • ガラバゴスなキャリア戦略
    • 自分を取り巻く環境も自分の価値。
    • 自分にしか出来ない価値を見つける。
    • 正々堂々と社外活動をする
社会人としての転職
  • 社会人としての転職
    • 2005年秋、チームの解散。(サラリーマンの宿命...)
    • マネージャーとして挫折、転職を決意。『好きなことを好きなだけやってから辞めよう。』
  • ディフェンシブな開発
    • アジャイルは悪くないが、ビジネスモデルが問題
    • 予め決まった金額と要件の中で納品と検収を目指す
    • 利益を出すにはリスクを取らずに『守り』に入る
    • システムで価値を産むこと<要件通りに作ること
  • ディフェンシブな開発がもたらす問題
    • SIビジネスの本質は保険屋
    • 技術者から見たSIビジネス
      • 『人月による見積り』と『成果物の完成責任』の捻じれ?
      • プログラマの生産性が上がれば上がるほど、売上が下がる?
  • 捨てたもの
    • Java
    • マネジメント
    • SIerの受託開発
    • 社内での出世
  • 社内システムをアジャイル
    • Skip:コミュニケーションが力になる
    • 社内システムの開発に従事
    • 2007年04月に全社展開
      • TIS会議→DevLOVEへ。(実はDevLOVEはここが原典だった!)
サラリーマンとしての契機
  • 2007年部下の異動(サラリーマンの宿命...)
    • 解散に対する危機感再び。
    • プロダクトのOSS化を図る。
  • 会社で新しいことをするには?
    • 提案でなく相談:yes/noを求めない
    • 肩書きはくだらないけど大切:ショートカット
    • トップからの視点と言葉を身につける
      • 経営者視点を持っているとやりやすいかも。
      • サラリーマンは失敗してもなんとかなる。
会社の中で意識してきたこと
  • クラウドビジネス
    • Point od SalesからPoint of Useへ
    • 買った時点が最高、そこから陳腐化が始まる。 :(例)製造業
    • 常に使っている時点で最高、最新のものを利用出来る。:(例)クラウド
  • ソニックガーデンTISからMBOで独立
    • リーンソフトウェアビジネス
      • ※少ない人数でもそれなりの事は出来る。
    • ライフスタイルカンパニー
      • ※エンジニアを続けていきたい、そこを追求。
  • 自分戦略についてのふりかえり
    • オーナーシップを持つこと
      • 今になって、『会社と個人は対等である』と認識。
      • 自分の人生についてはオーナーシップを持たなければならない。
    • 変化は自分から起こすこと
      • 自分のチームをつくること
        • きっかけ:入社2年目、フリーランスを検討していた。その時の言葉がとても印象に残っている。
        • 専務のおじいちゃんに相談、『今辞めるのは辞めておけ、2つの事をしなさい。出来たら辞めても良いよ。』
          • 名前で仕事が取れるように、有名になりなさい。
          • 仲間を作りなさい。一緒に働いてくれるひと、チームを作りなさい。
  • IT業界に産業革命を起こす。
    • 顧客企業の真のパートナーとして価値を提供し続ける
    • プログラマーを一生のg仕事にする、高みを目指し続ける。
  • 『ディフェンシブな開発』から脱却を
    • IT投資のコストパフォーマンスの悪さ
      • ベンダの見積りに於ける過重なバッファ
      • 開発と運用で別の業者を利用していること
  • 『完成』と『納品』が問題なのでは?納品をしなければ解決するのでは?★
    • 『オーダーメイドの受託』
    • 『納品しないこと』と『派遣しないこと』の両立
      • 定額モデル、出来る範囲、顧問ビジネス、内製部隊、…
  • 『完成指向』から『持続可能へ』へのパラダイムシフト
    • バグが出てもすぐに直せるようにする
    • サーバが落ちてもすぐに復旧出来るようにする
    • データを変更しても対応出来るようにする
    • ユーザのフィードバックで製品を変える
  • バグが出てもすぐに直せるようにするためには?
  • 品質とは何か?
    • 誰が顧客なのか分からなければ、何が品質なのかもわからない。("リーンスタートアップ"より)
    • そのテストの目的は何か?
  • 継続すること、保守することが大事。
  • 運用
    • LCC(ローコストキャリア)的発想
  • 夢を諦めない企業にする
    • そもそも新しいビジネスは難しい。
      • 日本における企業のイメージ:崖から飛び降りるw
    • 起業リスクをマネジメントする。
      • ウェブで成功するにはお金がかかるのか?皆ホールインワンを目指してないか?
      • 経験と学びの時間が足りない。
      • いつまでも、いつからでも夢に挑戦出来る社会にする
      • 顧問ビジネスと顧客向けサービス
  • 一生の仕事にする
    • プログラマとして高みを目指し続ける
    • プロラグラマとは何か?
      • ソフトウェアのエンジニアリング全てに責任を持つ。
      • ソフトウェアの全てを見る覚悟
      • ソフトウェアの価値とは?
        • 動かし続けてこそ価値がある。
        • 運用して、使ってもらう事が大事。
    • 普通の人には出来ないんでしょ?
    • どんな事に時間を費やすのか?自分の費やし方を考える。
  • ビジョンのための仮説
    • 実は、職人さんの方が価値が生み出せる。
  • プログラマをスターにしたい
    • 属人性の幻想
      • プログラマはマニュアル化の出来ないナレッジワーカー。
      • 働き方はノマドでタイムフリー。
      • マネージメント出来ないナレッジワーカーに大企業は不要
    • 人を信頼する
      • 出来る量で嘘をつかない『信頼』が必要
      • ソーシャルメディアによる『信頼』と『共感』の世界
      • 個人の顔が見える範囲の会社で十分
  • さいごに:ソニックガーデンのミッションとビジョン。

以上、これまでの倉貫さん講演濃縮総集編、と言うべき内容の濃いセッション内容でした。

プログラマとして高みを目指し続ける』『プログラマが全部やろう。』と言った部分には大いに共感するところではありますね。

年齢や立場の関係上、なかなかそう上手く行く事も無い状況ではあったりしますが、仕事でも仕事以外(趣味的に)でも、プログラミングをする事・プログラマである事は忘れずに、常にその部分は鍛錬を怠らずに今後も精進して行こうとしみじみ思いました...(油断してるとあっと言う間に勝手や感覚を忘れてしまいますしね...)

初日は本編渾身会の後、スタッフ業をされていた方々に連れられて2次会会場に少しの時間お邪魔させて頂いてたのですが、そこには倉貫さんや中村さんを始め草々たる方々が集まっており、元『海岸沿いのSIer』同窓会の様相を呈しておりました。緊張しちゃってほぼ何も話せないまま途中退出してしまいました...(^_^;) 懇親会ならではのぶっちゃけ話とかも聞けて楽しかったです。ありがとうございました!