戦術・采配以前に

敗因と

敗因と

2006年ドイツW杯の日本代表について、なぜ負けてしまったのか、原因はどこにあったのかを選手のインタビュー、周囲の証言から探っていくノンフィクション。


ドイツW杯予選の段階から、または大会期間中も懸念されていた監督の采配、人選は多少なりとも今回の敗退・惨敗に影響を与えている事とは思いますが、それを指し引いても、ここまでチーム内の関係に亀裂が、溝があるとは思いませんでした。そりゃまとまるものもまとまらんわ、って感じです。


ブラジル戦終了後中田英があのようなパフォーマンスを見せるまでの経緯、中田英と周囲との人間関係の変化、まとめ役となるリーダーの不在、チームバランスの混沌、崩壊…。


戦術采配も重要ですが、そこに至るまでの土俵でそもそも戦える状態になかった事を容易に読み取ることが出来ます。



最終章でまとめとして以下のような記述がなされています。

目標と負荷がなかったから、ドイツでの日本代表は心に響くような試合をすることができなかった−。

思えば、近年のサッカー日本代表

  • 1994年アメリカW杯予選(ドーハ)…初出場なるか→敗退
  • 1998年フランスW杯予選(ジョホールバル)…今度こそ初出場→念願叶う
  • 2002年日韓大会本戦…ホスト国は最低16強入りするべし…→一応達成

と、常に日本サッカー進展のために何かしらの使命感、義務感を背負ってきた訳ですね。


今回のドイツはそれまでの大会に比べたらそれほど大きな使命感、プレッシャーというものは無かったような気がします。予選も「勝ち抜いて当然」というムードだったし。
(あ、これはこれでそういうメンタリティもありか…)


北京オリンピックでの野球日本代表星野監督も「代表に忠誠を誓えん奴は要らん」という旨の発言を以前されてましたが、国家間の戦いでは気持ちの面でひとつにまとまらないとどうにもならん、という思いがあってのことでしょう。


オシムさんがこの辺の日本代表の根の深い問題をどのように対処していくのか、そもそも改革出来るのか?併せて見守って行きたいところです。