Shibuya.trac 第12回勉強会『〜 チケット管理システム大決戦 第二弾 〜』に参加してきた


2011/02/17に開催されたデブサミでベストスピーカー賞 総合第2位を獲ったセッション『チケット管理システム大決戦』の第二弾。Trac/Redmine/JIRAに加えて今回はBacklogも加わり、よりバトル色を増した(?)ディスカッション&質疑応答尽くしの3時間に亘るイベントが開催されました。

場所はニフティ株式会社セミナールーム@大森。募集人数も多めだったのでテーブル無し、椅子のみの形式でした。

前回のおさらい

今回のレポートの前に前回のおさらいを。

さて、前置きが長くなりましたが、参加予定の皆さまに重要なお願いがあります。
今回は2月に開催されたデブサミのチケット大決戦の続編になります。
第2弾となりますので、第一弾と同じテーマは取り上げません。
よって、事前に第一弾のスライド資料をご一読いただきたくよろしくお願いいたします。

事前にMLにて展開されたメールでも『復習しとくように』とのお達しが出ておりましたので、メールで記載のあった前回スライド他関連URLをズラッと。(各チケット管理システム詳細は各自でググってください)

レポート本編

モデレータ及びパネラーの方々の情報を集約したスライド資料が後日UPされる事と思いますので、詳細はそちらをご参照下さい。相当ボリュームのある内容で、ちょっとした書籍にでもなるんじゃ無いか位、タメになる内容満載でした。(※UPされましたので連携。情報的価値の非常に高い、ボリューム満点の資料です。是非御一読を。)


今回の勉強会の司会/モデレータ/パネリストの方々は以下。自己紹介も各自で実施。(約10分)

Twitter API ポケットリファレンス (POCKET REFERENCE)

Twitter API ポケットリファレンス (POCKET REFERENCE)


用意していた目次(テーマ)は以下の3つ。時間の都合上2つめまでで時間切れとなってしまいましたが、ざっくり流れを追いつつメモしていきます。

  • テーマ1:ツールのよいところ、ダメなところ
  • テーマ2:どのように開発プロセスに組み込んでいるか
  • テーマ3:チケット管理システムの運用方法

テーマ1:ツールのよいところ、ダメなところ

ツール毎の担当パネラーが個々に『良いところ/悪いところ』を指摘、それらについて異論・反論がある場合は適宜カットインして議論(またはモデレータの@ryuzeeさんによる煽りあり)して行くというスタイル。

Trac:良い所
    • 無料であること
      • 稟議書要らず。
      • 利用拡大があってもライセンスのコスト増が無い。
      • お金掛からない
  • インストール楽。/ デフォルト設定で普通に使える・どこにも持って行ける
    • 開発に使う環境と・BTSに使う環境が同じだと何気に危険だったりする。
Trac:悪い所
    • 収集つかなくなる場合あり
      • なので、素のままを使っています
      • プラグイン導入は自己責任で!
    • プラグインを入れないと貧弱
      • 何だこりゃ!というくらい
      • Trac Lightningに同梱のプラグインは45個
      • ワークフローのWebUI編集に決定打が無い


[Q].Redmineプラグインは何個くらいあるんですか?

    • [A]:250個くらい?(本家160 それ以外90)
    • [A]:JIRA は352公式公式サポート対象
  • [Backlog]→[Trac]:『プラグイン追加していくとタブが増えちゃってダサイよね
  • その点、[Backlog]のシステムは
      • バーンダウンチャート…つやっとしてる。
      • 絵文字も使える
      • backlogスター
      • 親しみやすいデザイン
        • 非エンジニアも安心!
    • Trac/JIRA/Redminde等でも、アバターサポートやコメント追加機能などが使えたりする。
  • Reportは以外と大変
    • SQLは便利だが、作るのは骨が折れる/書くのに2日掛かるようなSQLも・・・
  • Tracの最も残念なこと…Rubyではないこと。
    • 仕事がrubyなんでredmine使ってます。Tracってpythonなんですよね?』と非常に多くのひとから言われるらしい。
  • SQLiteが時々壊れる…Backendをpostgresにして対応
  • 複数プロジェクトでインスタンスを増やしてしまうと管理が面倒
    • プロジェクトが複数作れないのは致命的!
    • 小さい/期間の短い場合はTrac便利だけど、大規模だと・・・。
      • 大規模でTracを使うという選択肢は・・・無い!
      • 良くある認識違い
        • [×]:関連プロジェクトが紐付けられない
        • [○]:複数プロジェクトが作成出来ない
      • 『一応作成は出来る』が不便であっては意味が無い。
    • プロジェクト
      • Redmine:大規模
      • Trac:小規模沢山
      • JIRA:お金を持ってる企業が全社用に購入/プロジェクト用に管理者を設定、管理者も操作(管理)出来る
      • Twitterの『複数プロジェクトの話は不毛だからやめよう』でお開きに。
Redmine:良い所
Redmine:悪い所
  • エンタープライズで使う際に不便
  • カスタマイズしようとすると難易度UP
  • チケット番号が通し
  • Windows上ではパフォーマンスが微妙
  • WIKIがちょっと使いづらい
    • プラグインを使って対応しています→宣伝してください!
  • たくさんカスタムフィールを作るとうざい
JIRA:良い所
  • エンタープライズ
  • 標準カスタマイズと開発カスタマイズ
  • 購入者にはソースが公開される(1000円ででも)
  • 標準カスタマイズで出来るところ
  • カスタムフィールド:200〜300 入れたい?
    • 速度の話へ・・・不毛だからやめよう
  • カスタマイズ出来ます・・・設計者として負けだよね
  • JIRA ワークフローをグラフィカルにカスタマイズ出来る。『よだれ出る・・・』
    • 4〜5段のワークフロー/業務で使う場合は30段とかに増やす事も可→不要なワークフローの最適化も対応可能(ウィザードによる操作)
    • いかにシンプルなワークフローを使うかが大事。
    • あまりに煩雑過ぎると『作りすぎの無駄』に。
  • 美しいUI、豊富なキーボードショートカット
    • パフォーマンスは比較的良い
    • 簡単なインストール
    • 自動バックアップ
      • [Backlog]バックアップはEC2で対応、安心してください!
      • [Trac]Jenkinsのバックアップバッチで対応
      • [Redmine]Jenkinsで…(同上)
JIRA:悪い所
  • インストールして使い始めるまでの敷居が高い。
  • 日本語の情報が多くない。(以下は洋書)

Jira 4 Essentials: Track Bugs, Issues, and Manage Your Software Development Projects With Jira

Jira 4 Essentials: Track Bugs, Issues, and Manage Your Software Development Projects With Jira

Practical JIRA Administration: Using JIRA Effectively: Beyond the Documentation

Practical JIRA Administration: Using JIRA Effectively: Beyond the Documentation

  • 日本語本訳:実は一応翻訳済み(全10章)。出版社探しています!
  • メモリを食いがち、512mは欲しい。
  • ワークフローのカスタマイズがやや煩雑
  • 細かなチューニング、運用にはjavatomcatの知識が必要
Backlog:良い所
  • 楽しくコミュニケーション出来る
  • デザインがかわいい、親しみやすい
  • 管理に手間が掛からない
    • サーバ管理が不要
    • 1分で登録して使い始めることが出来る
  • 基本有償(1ヶ月無料)
  • フリープランもあるよ
  • 絵文字使えたからってどうよ
    • 使いだして良さが分かる・やりとりのニュアンス
  • チケット駆動開発自由民権運動
    • 正しさに10年後気付くハズ
    • backlogスター=>はてなスターみたいなやつ。
    • 円滑なコミュニケーションのツールとして
  • 非エンジニアにとっては意義のあるBTS
  • mixi疲れならぬ『backlog疲れ』は無い?

  • 日本の現場を分かっている
  • 国産だから日本語対応完璧!余計な事で悩まない!
    • [Redmine]『英語喋れば良いじゃん

  • コラボがしやすい
    • 非エンジニアとのコラボ
    • 社外とのコラボ

    • Saasだからメンテナンスフリー/セキュリティも安心
Backlog:悪い所
  • 柔軟なカスタマイズが出来ない
  • (他ツールと比べて)エンジニア向け機能が弱い
  • お金が掛かる
    • マルチプロジェクトつかえるけど…
      • プロジェクト感タスクの移動が出来ない

  • Scmとの連動もう1歩。hook書きたい/Git使いたい
  • レポーティング貧弱
    • 検索条件の保存が出来ない
    • 自由度は低い
      • [JIRA]レポーティング便利だよ!検索条件をシェア出来ます
        • これ良いね!機能がフィルタにも付けられる
質疑応答
  • [Q].redminで1000人以上で使う開発,非エンジニアの人もそこに含まれる?その場合中身がエンジニアよりだと見づらくない?
    • [A].ビジネスサイドの人も含まれます。見せる際に注意してます
  • [Q].DVCS - BTSの対応
    • [A].kanonをつかうと全部入る、svcs諸々対応可能ですよ
      • Redmine 分散ソース管理対応。オススメ出来るかどうかは
      • Jira git /mercurial。 Bazaarは・・・
      • Backlog:対応してません/デフォルト対応はSVN

休憩

テーマ間の合間の時間を使って、きょん@うさみみモード (TwitterID:@kyon_mm)さんによるSCM Boot Camp開催のお知らせが入りました。


開催予定日は2011/07/30(土)。方々で宣伝されているのと流行り(?)のBootCamp、サポート陣も協力な事から募集即定員達成の瞬殺が予想されます。参加してみたい気持ちはありますが撮れるかどうか…。

また、休憩時間内にはスイーツ各種が提供されておりました。Shibuya.tracコミュニティ様からのご提供と言うことでした。ありがとうございます!美味しく頂きました♪(^o^)

更に!バトルを繰り広げているスタッフの皆様にも『レッドブル』の差し入れも。

テーマ2:どのように開発プロセスに組み込んでいるか

Backlog
  • 基本方針
    • 出来る限りbacklogに集約
    • サポート・問い合わせ対応でのメールのやり取り
    • 今進んでいるプロジェクトの進捗状況
    • 仕様についての質問 など
  • チーム構成
    • 少人数 数人〜10人弱
    • デザイナーなどとも協業
  • 併用
  • Cacoo/Skype/Etherpad/Jenkins
  • 問い合わせ対応への取り組み
    • 問い合わせメールからbacklogにチケット自動登録
    • cacooでの開発プロセス
      • 1.プロトタイプ
      • 2.イメージを作る
      • 3.HTML/CSS制作
      • 4.Mayaaで仕上げる
      • 5.必要なら翻訳
      • ※これらの作業がbacklog上で行われる。やりとりをbacklogに集約
  • 社内のFAQサイト等も作っている
  • 社外ユーザなど文化の異なる人と
  • 雑務から新しい仕事を創る(これがチケット管理の新しい姿)
    • 開発
    • 営業からの依頼
    • ミーティング などなど
  • 実際のルール
  • 付箋も大いに活用
    • 流れを写真に撮って記録
    • 付箋と電子の二重管理→システムだけだと流れが追いづらい。手で合わせている。
    • 拠点で分かれていると付箋は使いづらい→システムを利用
      • →こういう(分散用?)システムも欲しいよね、検討します
      • →付箋をスキャン?
      • バーンダウンチャートは都度変わる:終わったつもりが終わっていない
    • 付箋手書き→trac記入→付箋を戻す
      • 画面のみでやってた・・わからなくなる
    • [Redmine]
      • タスクボードを使う
      • Redmineだけでも出来る
      • 同期をさせるのがコストがかかる
      • カンバンは使いづらい?
      • 電子だけだと朝会は遣りづらい?
  • ツール使ってるのに、何故アナログなツールが出てくるの?
  • ポストイットは強粘着
  • 付箋を使うと、振り返りの際に付箋等から記憶が伝わる
  • 敢えてアナログを採用
  • 段々バトルにならなくなってきた…


JIRA
    • [Redmine]
        • やばいところが分かるようなプラグイン
        • あるものは全て使ってダメなものはやめる
        • 予定と実績だけ入れよう
        • 生産性は計りにくい->チャート形式で計算
      • バックログexcelで十分まかなえる
      • 規律
        • ツール9割
      • 協調
        • それ以外9割
      • Redmineがマッチする:外部要因となる作業/小さいチーム
      • Redmineがマッチしない:個人用TODO
      • コラボレーションツールとして。
Redmine
  • WF+請負+指定管理方法(Excel)の場合
    • 構造化したチケット階層
    • マスターちけっと作成、子供チケットをぶら下げてtidd実施
    • 結果がexcelであれば良いんでしょ?生成用マクロで対応
    • 単体試験まではjenkins+xunit+pnd等でアジャイルに開発
    • 試験報告excelも自動生成
  • 支援(客先常駐作業)の場合
    • とにかく全ての作業はチケットに登録
    • その他
      • 可能なタイミングでCI/自動化を提案
  • Redmineを受け入れてくれない現場の場合(3箇条)
    • 現場で利用している同じ見た目の帳票・excelを作成出来るviewを作ると案外受け入れてくれる
    • 巧みな話術でしつこくキーマンを洗脳
    • 便利な仕組みを使うことによってやることが無くなる人の仕事を用意してあげる
Trac

小島プレス工業 - IT Japan Award 2010』で表彰を受けた小島プレス工業の事例を発表。



最後のTracによる事例発表の時点で撤収時刻(22:00)が迫っていたため、若干巻きでの発表となりました。当初は『(予定の)3時間、長いな〜』と思ってたのですが、いざ始まってみるとあっという間でしたね。それぞれの事例をもっと深く掘り下げて聞いてみたかった気もします。

個人的には今回のディスカッションを受けて、採用するのであればTracRedmine > Backlog > JIRA、位の順位ですかね〜。導入の速さ・または難しさなどは一度やってしまえばあとは…というのもあるし、ある種の難解さがあったとしてもノウハウとして蓄積されてしまえばそんな苦でも無いだろうと。むしろプラグイン追加・更新、またはシステム自体のアップデートに際して手間・問題があるというRedmineのある側面が、若干躊躇の要因となったかなと。逆に言えばそこにそんなに影響の出ない範囲・使い方であれば便利さはRedmineの方が強いような気はします。まぁどちらもがっつり使っては居ないのでまずは使い込んでみないと、という感じなのですが。(^_^;)

ちなみに、イベント最後に『(パネリストとして紹介したツール以外で)どのツールを使ってみたいですか?』という問いに対して、パネラー陣の回答は約半数が『お金があればJIRA』でした(笑)GUIで諸々操作出来る利便性、検索フィルタの有効性やカスタマイズ性等、興味を引くトピックが多かったのが要因だったようです。

早速次回(第3回)の話もちらほらと挙がっておりました。次回は『大決戦』ではなく『大集合』『大スクラム』みたいなタイトルでも良いかもね〜なんて話も。実際今回も『大決戦』的な雰囲気を醸し出していたのはテーマ1つめでの『DISり合い』があった前半位。あとは比較的平和なムードでした(笑)やっぱり争い事は良くないね!(´-ω-` )

ツール事のメリット・デメリット、またはこの種のツール導入・展開に際しての実践的ノウハウ等についても共通的に適用出来るモノなど多々あったような気もしますので、次回はその辺も踏まえたより内容の濃いイベントを期待したいですね。勉強会に携わったスタッフ及び参加者の皆様、ありがとうございました!


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