『Enterprise User eXperience Design -ユーザー中心設計の実践』に参加してきた #devlove
- Enterprise User eXperience Design -ユーザー中心設計の実践 - - DevLOVE
- 2013/01/21 Enterprise User eXperience Design -ユーザー中心設計の実践 - #devlove - Togetter
(前略)今回は、SIerにてユーザー中心設計の取り組みを組織で始め、現場での実践を推し進めている、 日立ソリューションズの柳生大介さんに、その取り組みについて紹介頂けることになりました。 柳生さんの話を経て、私たちが現場で何から始められるのか、議論しましょう。 どんな一歩をどうやって刻むのか、各自が持てるようにしよう。
と言う訳で『前回』に引き続きの今回。(前回参加レポートは以下)
開催会場はKDDI ウェブコミュニケーションズ@麹町。当日は40人近い参加者が集まっておりました。
開場〜はじめに
- DevLOVE初めての人のためのご紹介(詳細は割愛)
- 今後は日本全国各地でやりますよ!
- ML/Facebook/Doorkeeperにjoin!
- 色々なテーマでやってます。
- 現場に取って良いと思えることであればなんでもやろう!というコンセプト。
- 今後の予定等々...
日立ソリューションズのUX向上施策
- 日立ソリューションズ 柳生大介氏
ユーザーに快適に使ってもらえるシステムを作る為には、利用するユーザーの視点で考える必要があります。 ユーザーの満足度をさらに高める為に、日立ソリューションズでは2007年からUX(ユーザエクスペリエンス)の取組みを開始しました。 私たちが作るソフトウェア、システム、サービスの価値を向上するためには、このUXが必要であると考えます。 まず、当社がUXに取組み始めた経緯と、当社が考えるUXについて説明します。その後、当社のUX施策を事例も踏まえてご紹介いたします。
まずは今回の発表内容、以下の記事がベースとなっているそうです。
また今回『対象領域』としている部分として以下のスライド資料が参考に挙がっていました。のでUP。
今日は上記スライドで言及されている『利用時の品質』にフォーカスした内容となっています。
と言う訳で、これらを踏まえつつ以下講演内容メモ。
1.自己紹介
- 1997年 独立系ソフト開発会社に入社 社会人スタートITブラック四天王でググれば出てくる会社に努めてました
- 1999年 転職後SE 当時の日立システムエンジニアリング
- 2005年 支援系の部門に異動
- 2007年 UXに取り組み始める
- 2010年 人間中心設計専門家として認定
- 人間中心設計専門家の認定を受けています。
2.UXに取り組み始めた経緯
- 使い難いという評価:『使い難いねぇ、これ』
- 使い易いシステムを作る手法
- 手戻りの発生;『これじゃ使えないよ!』
- 要求を正確に把握しよう
- 機能中心の考え方:機能が沢山あればいいと思ったけど『何を使えばいいの?』
- 人間中心の考え方へ
- →UXで解決しよう!
3.当社が考えるUX
- 元々漠然とした概念。
- User eXperience(UX)
- ユーザの体験に着目する
- 体験を豊かにする事を考える
- 結果として付加価値の高いものやサービスが作れる
- 『コーヒーの価値』を例に取る:
- 缶コーヒー(120円)→【コーヒーを飲む】だけ
- シアトル系カフェ(350円) →【くつろぎながら】の付加価値をプラス。
- ホテルのラウンジ(1100円) →【行き届いたサービス】の付加価値をプラス。
- 『誰のための◯◯◯◯?』と問い掛ける方法が一番分かり易いのかもしれない。
- なぜUXなのか?(例)電子政府の問題
4.当社のUX向上施策
- 人間中心設計プロセス:4つのプロセスを回すよう推奨している。
- 期待される効果
- 真のユーザニーズを把握
- 問題点を早期に発見、対策
- ユーザの満足度向上
- マニュアルを簡素化
- 導入教育や問い合わせの工数を低減
- 等など。
- 懸念事項
- 実施期間と費用が必要。
- →一般的に上流工程で2割程度増加
- 費用対効果が示しにくい
- →理解してもらうのが難しい…
- 良いものなんだけど…社内で理解してもらうのは大変。
エスノグラフィ調査
グループインタビュー
-
- なぜなぜ:質問の深掘りをして行こう。推奨。
- 難易度は低い
- なぜ?と思う観点を持つ
- 親和図法で分析、潜在ニーズを抽出したらブレストで実施検討
ペルソナシナリオ
インスペクション評価
成果と課題
質疑応答
本編講演内容が終わったので休憩予定時間まで幾つかの質疑応答がなされてました。
- [Q].自社でもUX部門を立ち上げている。がしかし実案件につながる取り組みが出来てない。ビジネス的な話:UXやユーザビリティにお金を使ってもらわなければ成らないと思っているが、どういう案件だとUXなどが提案通りやすいか?
- [A].一番多いのは自社製品の開発。融通が効きやすい。研究開発的なものだと適用させやすいかも。受託開発とかだとなかなか難しいかも…提案は通っても受注とかまでは...
- [Q].UXセンターを作る時に社内で啓蒙活動等をやられていると思うが、その辺の詳しいところを。
- [A].組織を作る:割とタナボタ的に出来たw 親会社(日立製作所)からデザインをやってる人が来て先導してくれて、今がある。
- [Q].費用対効果が示しにくいという点。自社製品だとしてもその点難しいのでは無いか。良く突っ込まれる。何と答えているか?
- [A].費用対効果については、そういう説明はしていない。どうしてもって時にはネガティブな情報をまず提示し、改善することで効果を強調する。(***する事でこれだけ削減出来ます!みたいな)
休憩(5分)
ここで5分ばかし休憩タイム。この時間でなごやの地からはるばるやって来たうさみみさんこときょん@うさみみモード (TwitterID:@kyon_mm)氏がここぞとばかりに柳生さんに質問を投げ掛けておりました。この2人の質疑応答で結局5分掛かってしまっていた模様w ちなみにこの時のやり取りは早速きょん君がブログにUPしておりますので併せて御覧頂けると当日の状況が把握出来るかと思われます。
WhyとHowで考える、明日の現場で何から始められるか。[ダイアログ]
講演発表の後は割りと長めの時間の中でのダイアログコーナーに。同席された方々総勢3名で、この日の内容と各人思うところを色々ディスカッションしておりました。
25分程のダイアログの後は、代表質問をそれぞれ付箋に書き出し、それを市谷さんと柳生さんがチョイスし回答していくというコーナーに。以下主だった内容のメモです。
- マクドナルドの例の"60秒"キャンペーンについて
- ENJOY!60秒サービス | キャンペーン | McDonald's
- マクドナルドの通称「60秒ルール」速すぎてやばいwwwと話題(高橋敦彦) - BLOGOS(ブロゴス)
- 【話題】マクドナルド60秒キャンペーン 急ぎすぎてメニューがグチャグチャと話題! 「60秒に必死」「サービス劣化」 | 炎上ちゃんねる
- 食べてがっかりしなかったですか?がっかりした方?(多数挙手)
- 早さを追求するあまり形が...
- マクドナルドですら期待値を裏切る。ソースなにこれ?作りなおさせました。
- 本質的要求と付加価値に差異が生じると価値・満足度は下がる。
- 事前期待が高いと『期待外れ』となる。顧客満足における期待値のコントロールも大切。程良い所を探る。
- マクドで1分掛かっても良いのに、1分以上掛かってもいいから写真通りのものを出してくれ、と。期待値のベクトルが違う。
- お客さんと提供側でどこに提供価値があるかを特定。
- どうやって60秒以内に…UIの領域
- 提供価値の問題…UXの領域
- UXを売るためには?
- エンタープライズならではのUX
- コンシューマ向けのサービスなりアプリではUXの考え方は徐々に。
- ではなく業務システムやエンタープライズシステム特有の開発モデル・関係性・立ち位置に対してUXをどうやって行けば重ねあわせていけるのかなと。
- 受託でも出来る所からやり始めていけば。
- UXノウハウの蓄積方法について
- 実際ノウハウを持っている訳では無い。
- 会社として取り組む:デザイン本部が取り組んでいた。そこに教えてもらった。
- 座学だけではなく、施策を実践してみた。実際のプロジェクトを対象に。
- 自分の会社の中でも協力者を募り、UXを実践してみた。
- 勉強は書籍を使った。
- HCD-Netに参加して情報を得た。
- 産業技術大学院大学 年1回 15万 ワークショップ中心。お金と時間は掛かる。
最後に@chachakiさんから一言。
- UXは学問もついてくる珍しい分野。ノウハウの蓄積もその辺に負う事が多い。
- ゲーム業界はこの点先行しているものの、ノウハウは溜まっていない状態。諸刃の剣。
- なのでアカデミックな分野の内容を吸収することで良い効果が期待出来るのでは。
DevLOVE x UXについては、同一タイトルで前回含め2回聴講した訳ですが、今回の方がより実践内容の紹介があったり、講演者&参加者間のディスカッションがあったりで疑問点が解消出来たり、有意義なディスカッションが行えたりで満足度は高かったような気がします。
ただやはりこの領域については、座学に加えて実践で試して見るという部分が何より不可欠。今回幾つかのプラクティスが紹介されていたので、取り入れられる所は取り入れてみて、職場・仕事に於けるUX度合いをより良く改善していければ…と実感致しました。
会場御提供頂いたKDDI ウェブコミュニケーションズ様、講演者:柳生様及び@papandaさん、また当日ご参加された皆様ありがとうございました!