第2回 IT英語学習法カンファレンスに参加してきた #itencon


前回開催された第1回が予想外の反響(ブクマ)を頂き、個人的には非常に印象的かつ思い出に残った『IT英語学習法カンファレンス』。

この日、待望の第2回が開催されたので引き続き参加してきました。

開催会場は前回同様日本マイクロソフト株式会社@品川。

ちょうどこの日は東京スカイツリーの竣工日&うるう日&想像以上の降雪(関東地方)という訳分かんないような一日でしたが、雪の方は昼頃には既に止んでおり、品川に訪れた際には既に雪の降った跡は粗方無くなっていた感はありました。写真は辛うじて残っていた品川駅近辺の雪です。

開始前にはこれまた前回同様、モニターにTV番組を映し出しておりました。ここのモニター、CS放送も映るんですねぇ・・・凄すぎる(笑)

そして更には開催会場に併設されていた無限コーヒー(@オラクル青山センター)ならぬ『無限ドリンクバー』。冷蔵庫内の飲み物を自由に飲んで良いという何とも贅沢・太っ腹なこと!


時間になり、主催者である中村 薫(TwitterID:@kaorun55)さんの全体前説、今回の講師(柴原さん)を招いて頂いたYasunobu Kawaguchi(TwitterID:@kawaguti)さんの講師紹介などがありました。

講師紹介:柴原 早苗さん

そして本編に入る前に。講師の柴原早苗さんについての簡単な御紹介を。(各種Webサイトで辿れる範囲で)

プロフィールに関しては以下の通り。(こくちーず概要文から転載)

立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。
ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。
NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。
ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 
著書に「通訳の仕事始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

そして、以下のブログでも連載が続いております。(月イチ連載:2012年02月末現在で計32回。)


その他関連記事はこちら。

また、YouTube動画もシリーズで残っているものがありましたのでこちらで一覧御紹介。

そしていよいよセッション開始です。以下メモ。

講演 「BBC採用までの道のり」

「いつかはイギリスに暮らしてみたい!」と一念発起してから、
イギリスの国営放送BBCの放送通訳としてロンドンに赴任するまでの
過程をお話しいただきます。


  • 普段は同時通訳ブースでお仕事をしているので、今日は全く逆の立場。どきどきしてます。
  • 放送通訳がメイン。
    • スカパー・ケーブルTV等。
  • 今日は2つに区切って行います。
    • 前半:どうやってBBCの通訳になったのか&質疑応答等
    • 後半:ワークショップ(通訳トレーニング)
どうやってBBCの通訳になったのか
  • 父の仕事の関係で幼少期を海外で暮らす。
    • アムステルダム・ロンドン等
    • 当時は情勢的にも海外に一旦行ってしまうと帰って来れない、位の感じではあった。
  • それから4年後(中2の時)、帰国。
    • 中2の2学期、社会科の勉強:徳川将軍何それ?日本史の知識欠落していた・・・
    • 発音とかでは良い環境に居たと思うが、半年で英語に関する部分を忘れてしまう
  • 大学:社会学に進む
    • 実は英文科を落ちて・・・らしい。4年間過ごす
    • 卒業を控え、『昔暮らした英国にもう一度・・・』という思いが。
    • 出来れば旅行では無く、留学で。問い合わせてみるものの・・・
      • 社会学科での枠は無いと言われた。更には『海外生活経験有りの人は対象外です』とも。
  • 大学4年時
    • 大学の授業があまりにもつまらなかった。内職で勉強の手応えを得る事に。
      • 資格試験を受けよう。TOEFL/TOEIC
      • 英語は嫌いだったわけではない。→英語を勉強し直して形になるものを得よう。
      • 大学3年時、英検を受ける
      • 大学4年夏休み、英検協会から手紙→米国1ヶ月留学のご褒美が。
        • でも就職活動しなければならない状況。大学指導部:『海外に行くなんてとんでもない!』
        • 仕事を自分で探さねば。朝日新聞求人欄で仕事を探してみる事に。
        • オランダ航空にダメ元で応募。一次試験クリア。→2次試験で『オランダが好きだ』とアピール。
        • すると、面接官『初任給20万円ですがどうおもいますか?』→柴原さん『スゴイと思います』→採用!無事就職は決まった。
  • 就職:
    • オランダ航空就職→決まった先は貨物課。
    • 広報部に行きたい!とアピール→1年経っても音沙汰無し…
    • 東京有楽町勤務→原木(西船橋)勤務、家から2時間半掛かる『…左遷なのか?』
    • なんとか頑張る
    • 自分の直属日本人上司をすっ飛ばして、オランダ人上司に訴える→1ヶ月後戻れたが、周囲からはブーイング(的な視線)も…
  • 英国に行きたい思いは募る・・・
    • 英国に行くにはどうすれば良いか?どういう仕事に就いたら良いんだろう?
    • 求人広告(新聞)をめくる日々
    • Japan Times:外資系のものが多い
      • ある英国の大学がスタッフ募集しているのを発見。→オックスフォード大学日本事務所
      • バブルのさなか:寄付金を基金を集める目的で設置された事務所、そこの秘書として。
      • さっさと転職。3年ほど勤めた。
      • 自分の貯金で行く目処がついて、英国の大学院に。(ロンドン大学
  • ロンドン大学
    • 終了時、研究職に就きたいな・・・という思い。
      • 相談しに行った人:『高学歴、高年齢、女性・・・難しいでしょうね、研究職は。しかも日本の大学院出てないんであれば・・・』
      • と、お世話になった通訳学校の先生から『通訳手伝ってくれない?』との連絡が。
      • →通訳としての仕事、第一歩。
  • まだ英国行きたい病は止まず。
    • PHD(博士号)を取るか、就職するか。
    • BBCの求人広告:放送通訳業を見つける。
      • どういう仕事なのか見当付かず、その仕事が何なのか調べるところから始める。
      • モカセットテープを参考に、読んだ原稿を吹き込んで応募。
      • 面接試験時:『無いけれども研究はしてきました』→採用(96年)。
  • 96年、すぐに行けると思っていた・・・が正式採用通知は来ず。ウェイティングリストの採用応募だった。
    • 結局2年半、ウェイティングリストで待っていた
      • その間は正社員になれず、フリーランスで通訳の仕事を続けていた。
    • その後、晴れて海外BBCへ。
  • とにかく、諦めないで!
  • それについて考える事を止めない。
  • いつかはやりたい、という火を細くても消さずに。
  • BBC入った:その時点で海外で働く、という事を達成。
    • 年齢的に:結婚は良いかな〜?→なぜか同僚と結婚。
    • 子供:2001年に生まれた
      • その辺りからBBC WORLD日本支部のシフトが厳しくなってきた。真夜中まであったりとか。
      • 子育て的には厳しい状況
        • 英国:産休、育休はあるようでない。しかも前例も無い。
        • 国労働省人事に掛け合い、育休産休を頂いた。
        • 保育園:一律幾ら、という感じ(15万円)、日本みたいに収入に応じて、という訳ではない。
        • 家賃:高い。(25万円)
          • 通勤手当出ない。
          • 諸手当が一切ない企業だった。金銭的にも逼迫。
  • 2002年:あっさりと帰国。
    • 先のことを全然考えずにいた。第2子もお腹の中に居た。旦那の実家に。
    • かなりお先真っ暗状態でした・・・
    • 旦那の仕事が見つかり、多少は楽に
    • 第2子生まれる頃に:イラク戦争が勃発
      • 京都:世界水フォーラム。東京に居る通訳者がごっそり持って枯れてた
      • 昔お世話になった人から『放送通訳が必要だ』。
      • ブッシュさんのイラク戦争があったのがきっかけで仕事に戻れた(本人注:ブッシュさんがそこまで好きというわけではない)
      • 放送通訳の仕事を続け、今に至る。
  • 何故10年近く、続いたのか?→ひとえに、『好きだった』から。
    • 個人的にはニュースがとても好きだった。
    • ニュースに関連するための資料を読むことが楽しく、嬉しい。
    • 好きなことを仕事に上手く結びつけられる事がモチベーションには重要。
    • 放送通訳を通じての『たまたま今、自分がここに居て生かされているんだな・・・』という思い
      • 東日本大震災/シリアの内戦/ソマリア/中南米ハイチでの地震(現在も未だ復旧遅れる...)
      • 海外の様子を見ていると、今自分は何が出来るだろう、仕事を通じてどういった事が出来るだろう・・・
      • 好きな仕事だから、それを通じて貢献出来ることを考えていきたい。
  • どうしてBBCの通訳になったか?
    • 運や人とのご縁が大きかったと思う。
    • その時のタイミング、世の中の動きは大切。
    • じたばたせずにじっと待つ事も大切。
    • 手紙を書くのが好き。筆まめでいることが、もしかしたら良い形で色んな人との結び付きを得る事が出来たのかもしれない。
    • 密に連絡を取り合う事も大事なのでは。逆に手紙を貰うことで力を頂けた部分もある。
    • 諦めずに、好きなことを続け、運とご縁を大切に。
    • 何が出来るか考えて行こうと思う。

前述のYouTube動画でも会話を聞くことは出来ますが、非常に気さくな感じで、笑いも交えてのトークでした。場面場面でやってくる縁というものがあっての今、という部分がお話を聞いていても非常に印象的。やはりこういう繋がりは大事なんですね〜。勉強会等で新たな人々と知り合い、展開も広がっている部分はあると思うので非常に共感出来ます。あとは諦めない気持ち超重要。細々とでも続ける事はやはり大事ですね。

この後は幾つかの質疑応答がありました。メモ取れた範囲で御紹介。

  • Q.半年ぐらいで英語忘れた→その後割とスムーズに身に付け直していた。この辺りはベースとして幼少時代の経験があったからか?
    • A:無くは無いと思うが、子供の時に身に付けたものは所詮子供時代のもの。
      • 大人になったからっていって、それをベースに出来るとは限らない。
      • 英検・TOEICは学術的な物も多い、楽しんでやることが大切なのでは?
  • Q.何で、そんなに英国に行きたかったのか?
    • A:どこかに惹かれるもの、ノスタルジーがあったのでは?
      • 英国の空気を吸いたい。
      • 英国クラシックが好き、安い。日本S席が500円位で鑑賞出来る。
      • 必要に迫られて、というのは大きいと思う。
      • モチベーションをどうやって上げ充て貰うか、というのも大事。人によっては鬱になりかねないので・・・
      • 必要に迫られて、というトリガーは大事かも。
    • 何でも素材にしちゃう。ペットボトル(のラベルの英文)とか→『音読出来た、ラッキー♪』
      • 地方のお土産の箱の英語を読むことが好き。『このままYahoo翻訳機能通したんだろうな〜(笑)』
      • 好きな事は続く。
      • でも・・・実はスマートフォンが使えない。自分の携帯メールアドレス知らない。
  • Q.漠然と海外転職を考えている。何かポイントなどあれば教えてください。
    • A:もう3時間位あれば存分に回答出来るのですが・・・(笑)
      • まず物事が日本みたいに機能しない。
      • 販売機、券売機・・・まともに動かない場合も。
      • 友人券売機・・・行列。遅い。
      • クリーニングで困った件
        • (柴原さんが預けた)赤いジャケットがペラペラの粗悪品に。
          • 柴原さん:『これ私のじゃないです』
          • 店員:『あ、破けちゃって・・・』詰め寄っても『私担当じゃないから』
          • マネージャー『本社に連絡を』
          • 英国には『苦情の手紙コーナー』が書店にある。使って本社に送った。
      • 海外はそういうトラブルがしょっちゅうある。耐えられる力、楽しめる心を。
      • 電車も時刻通りに来ない。ランダムに選んでるんじゃねーの?と思えるような理由のオンパレード。
        • 『今日はドライバーが欠勤なのでお休みです』
        • 『線路に葉っぱが落ちたので・・・』
        • 『車掌が風邪引いた』
        • 出掛けるにも1時間半位余裕を持って。
      • 日本に戻ってきて、自販機がちゃんと動く事に感動。
  • Q.英語=米国というイメージ。映画等で英国の英語が耳に入らない。ブリティッシュアクセントに慣れる方法とは。
    • A:私は逆の立場。聞き慣れるのがやはり一番の近道。
      • スクリプトと音声を照らし合わせて。
      • 米国英国だけでなくインド人、シンガポール人の英語等も最近日本で聞かれるように。
        • そういう人達の話す英語にどういう特徴があるかを掴んでおくだけでも良い。
      • 地道な作業だと思うけど頑張って。


質疑応答での英国話、非常に興味深い内容が聞けたのではと思います(笑) こういう話を聞くと、日本はやはり恵まれてるんですねぇ…(  ̄- ̄)

体験ワークショップ
通訳訓練の方法を活用した、実践的な英語学習法の体験ワークショップです。

5分程の休憩の後、引き続きのワークショップを実施。

  • 2〜3人組を作り、まずは自己紹介。
    • 向かい合ってにこっと。
    • 以下の内容を20秒程で自己紹介。(日本語で)
      • 1.名前
      • 2.どこから来たか
      • 3.今何をしているのか
      • 4.英語に関してのお悩み
    • コミュニケーションがどういうものか(相手からの情報を得るための手段としての日本語)
    • 英語:情報を得るためのツール。
      • 20秒という時間の『短さ』:
        • 英語の勉強、時間無いんです・・・1分でも取れないですか?
        • 何となくTwitterやってたら30分経っちゃった・・・時間に対する意識を変えて行ければ。
        • キッチンタイマー等を使い、なるべくメリハリのある勉強を。
  • シャドーイング
    • (実践)日本語ラジオニュースのシャドウイング
      • 日本語でも結構難しいかも。
      • 単語などは知識として知ってないと、出てこない。
      • 目で読んで、耳で聞いたものでないとなかなか。
      • 音読はとっても大事。
      • 自分が知らない表現はそう出てこない。
      • 日本語として知っておかなくてはならない。
      • きちんとした文法に則って、基礎的な勉強は必要。
  • 教材選びのポイント:これらを押さえておくと、独学でもかなり効率良く勉強が出来る。
    • (1).音声がある事
    • (2).スクリプトがあること
    • (3).訳文があること。
  • ボキャブラリ:必ずチェック。
    • 結構早めのテンポで。英語、日本語共に読む。
    • 声を出した、というのが体験的な記憶として残る。
  • オーバーラップ:音声が聞こえたら付いていってそのまま読む。
    • タイマーで区切って素早く読む。
    • 訳文を読む。締め切りを設けて。

ちなみに、一連のワークショップに用いた教材は以下のプリント及び関連音声でした。東日本大震災に纏わるエピソードを盛り込んだものです。


  • メモ取りの通訳訓練:
    • 通訳者は音声を聞いて逐次通訳をする場合がある。
    • 速記ではない。自分の頭で整理しつつ、備忘録として・

と、ここで前述のラジオ音声を元にメモ実演。いつどこで、といったポイントを押さえたメモを取っているようです。

普段見ることの出来ない『プロ』の作業風景に、参加者一同感嘆。自分もてっきり速記的な何かで書き留めていると思ったので、こういう風に工夫してメモを取っているんだ〜というのが知る事が出来たのは大変基調でした。

  • Instagram(川口さんの撮られた写真を使わせて頂きました。ありがとうございます。)

  • 暗唱:
    • 重要な構文を覚えるときの方法。センテンスの後ろから暗唱。
    • 英語に関しては、後ろからの方が覚えやすい。
    • 言葉を入れ替えて作文。
    • 言い換えを作るのも効果的。
    • とにかくだまっててもダメ。声に出す。
  • 音読筆者:自分で声を出しながら書き写す。
    • 非常にディクテーション力が付く。
    • 白い紙で書くときは罫線を使う。(罫線が無い紙の場合)
    • 虫食いで聞き取れたとき、補完がしやすいから。
    • シャドーイング、スラッシュリーディング、メモを取りながら。
  • 資格試験の対応方法について良く聞かれる。
    • 対策本を見て対策=飛躍的に伸びるとは限らない。
    • 好きな素材を選んで続ける。
    • 自分にとってちょっと難しい位の教材を選ぶ。
    • 皆さん自身、最適な方法を探しながら。

このセクションでも、幾つか質疑応答がありました。帰宅支度をしながらでしたのでメモ取り切れていませんが、印象に残ったのをメモ。最後のつぶやきのは目からウロコ的な楽しさを発見出来そう(笑)

  • 電車通勤:マスクを付けて口パクで練習を。
  • 日経新聞、英字新聞読む(英字は売店で。敢えて買うことで読むことに)
    • ボキャブラリビルディングが出来る。
    • 英字新聞のテレビ欄は面白い。この番組名がこうなるのか、という面白さも(笑)


第1回目のカンファレンスは牛尾さんによる勉強法メソッド詳解、という感じでしたが、第2回目は通訳のプロによる考え方、取り組み方、実践方法という贅沢な講演内容。第1回第2回と切り口的にも異なるものでしたが、多くの情報・ポイントに気付く事が出来、参加された方々も有意義な時間を過ごす事が出来たのではないでしょうか。時間の都合で21:00を以て終了となりましたが、時間が許せばもう少しワークショップの方もゆっくりじっくり取り組んで見たかったですね。


会場をご提供頂いた日本マイクロソフト株式会社及び長沢さん(TwitterID:@tomohn)、主催者のかおるんさん、講師を招聘して頂いた川口さん、そして本日の講師、柴原さん。とても有意義な時間をありがとうございました!


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