FLASH MEETUPに参加してきた #flashmeetup

モバイル Flash Player の新規開発中止発表で、色々と Flash について不安や意見があると思います。
今回、アドビ本社から Flash コミュニティに直接、現在の Flash の状況や今後について対話するべく以下の3名がミーティングを開きます。

・Mike Chambers
 Principal Product Manger, Adobe Systems
・Thibault Imbert
 Product Manager Flash Player, Adobe Systems
・Lee Brimelow(当日都合により欠席。替わりにTom Nguyen氏が来て頂けました)
 Platform Evangelist, Adobe Systems

通訳も参加しますので、Flash 全般に関する質問や意見を投げかけてください。
アドビの Flash チームが大切に考えている日本の Flash コミュニティに生の声を伝えるいい機会だと思います。
なお、Flex に関しては 2012年初旬に Flex チームが来日を検討しており、そちらで今後の説明などを行う予定です。

件の報道で少なからず関係者に衝撃が走り様々な憶測や意見が飛び交ったのを受けつつ、日本国内でも『その辺どうなのよ?』的に意見を聞いてみよう。という事で今回のイベントに参加してきました。

会場はFxUG等でもお馴染みのゲートシティ大崎ホームB会場。普段ですとFxUGでアドビ本社様社内のフロアにて勉強会が開催されているのですが、今回のイベントに関しては200人を超える参加者が集まったため、建物B1Fの大会場を使っての開催でした。

以下メモ。

はじめに

当日は天候も思わしく無く、若干の遅刻者等もいた感じなのですが、ほぼ時間通りに開始。簡単な経緯及び『最後まで居た人には豪華賞品(CS5.5マスターコレクション!!)が当たるチャンスもありますよ』とサプライズな発言も。

3人来られる予定だったうちの一人(Lee Brimelowさん)が当日都合により欠席。替わりにTom Nguyenさんという方がが来て頂けました。

※尚、イベント当日は通訳の方による翻訳ありで進められていました。ありがとうございました。

Flash Platform Update and Discussion


  • 元々はMacromedia。現在はAdobeで現在の仕事に携わっています。
  • 今日は幾つかの(ここ2〜3週間での)発表に関する更新情報を。
  • 説明は10分強、その後に質疑応答。
  • 最初に幾つか発表した内容のおさらい。
  • 2つのフォーカス
  • モバイルアプリが中心となる。
  • モバイルブラウザ用のflash Playerの開発は中止します。
  • アンドロイド次期バージョンではリリースするけれども、それ以降の新しいバージョンではサポートして行かない。
  • クリティカルなバグフィックスなどは対応します。
  • 何故こうしたのかについてはここでは詳細は語らないが、質疑応答の中で答えられれば。
  • What about other use cases?
    • これらの発表をしたからと行ってFlashについて取り組んでいることを辞めるというわけではない。
  • HTML5について
    • ブラウザに関してはイノベーションが登場している。
    • 今までFlashでだけで実現可能だったものがHTML5でも実現されるようになる。
    • ますますこういったコンテンツがHTML5で作られていくだろう。
    • Adobeとしても今日のツールでHTML5アプリを簡単に作成出来るようにしていくつもり。
    • HTML5/Flashどちらを使うかはケースバイケースでしょう。
    • 明言しておきたい:私、もしくはAdobeHTML5/Adobeいずれかのみを使うと言う事は無い。
  • Focused on WHAT and not WHY
    • 今回の発表に関して:コミュニケーションの点で至らなかった点があった。
    • フラストレーション、混乱もあった。対応についてはお詫び申し上げたい。
    • 我々が何を焦点に当てているかを説明出来ていなかった部分があった。
    • これからは色々な取り組み、コミュニケーションを図る予定。
      • Flash及びFlexのコミュニティサミットinサンフランシスコ
      • プラットフォームのロードマップホワイトペーパー
      • World Wide User Group Tour
      • Making internal changes
      • 等々...
  • Adobeのビジョンが何であるか、コミュニケーションを通じて明確にしていく。
質疑応答
  • Q:ロードマップについて。Flash11から3Dの機能が追加されているが、どれ位の機能をどれ位のスパンで実装していくのか。
    • おおよそになるが、現在のMobileの方ではそれらを含んでいるが、次期バージョンでは含める予定。予定としては2012年初頭。リリースについては後程2人から話があると思う。
  • Q:日本特有かもしれないが、個人的な意見として。今までのFlashの優位性は互換性を突破するものだった。今後はブラウザにおいてはHTML5の方が優先される可能性が高い。HTML5優勢となるであろう状況下で制作環境が整うかどうか。
    • まず第一点、互換性を超えたという点について。これは中心となる、コアの役割を果たしていた。
    • ここについては今後もデスクトップにおいては果たしていくつもり。
    • ただ、理由は色々あるけれども、モバイルではその辺を果たすのは難しく成りつつある。
    • 一つはモバイル環境でのエコシステムが閉鎖的になってしまっているというのがある。
    • 例えばiOSプラグインがどこまで許容するかどうか、等。
    • またMSの方もモバイルOSについては同じような戦略で攻めている感がある。
    • トレンドとして我々も受け入れて行く必要があるのではないだろうか。
    • HTML5について:これはまずHTML5でより多くのモノが取り扱われているのは間違いないだろう。
      • モバイルに関するものはHTML5で扱われている。
      • 今回の我々の発表の前にも流れは顕著になりつつあった。
      • エコシステムを考えるにはHTML5がクローズアップされてきている。ブラウザの観点からしても。
    • 最後に、日本市場とその他の市場との違いについて。
      • モバイルデバイスに関して、リッチコンテンツをブラウザ・アプリどちらに期待するかで違いが。
      • ここの部分で若干日本市場に特異な部分があるかも知れない。例)デスクトップではflash モバイルではAdobe AIR
  • Q:アプリ開発になるとUnityという存在が大きくなってくる。(3Dゲーム開発環境)UnityもFlashで吐き出せる:Flashのオーサリングツールとしての位置を保てるのか?
    • どういったゲームを開発するかでツールの選択肢が決まるのでは。
    • 例えば、ハイパフォーマンス2D:スターリンというフレームワークを。
    • 3DのFlashゲームも別のフレームワークが選択肢として挙がる。
    • 2D、ハイパフォーマンス・・・Flash Pro
    • 現在3Dのツールでは特別ツールを開発するというのは無い。
    • 今後Flashでは3D搭載のツールを作る可能性は?→現在は無い。
  • Q:WebデザインでActionScriptを教えているが、現在ほぼ廃業状態。Webの分野ではHTM5への以降が進むだろう。ActionScrip3をやろうとする人が減るのでは?学校で教えていこうと思うが、Flashというのが『教えるに値しない』『ビジネスにならない』のではという危惧がある。
    • 先程のQAでも申しましたが、ゲームとアドバンストビデオに力を入れていこうと思っています。
    • クロスプラットフォームのものを開発しようとするのならばAS3は有力となり得るでしょう。
    • ただ、リッチなWebベースの場合だと、どの言語を使うべき!という候補が無くなってきてるでしょう。AS3 ,javascript
    • 最初に学ぶべき言語はJavascriptになっていくのかも知れない。
    • 以前と比べると大きな変化。これまではFlash/AS3しか無かった。
    • 現実的にはこれからはHTML5で作られることが多くなって来るでしょう。
    • 今現在Flashを使って作業している場合、少なくともHTML5についてある程度知るという事は必要でしょう。
    • Html5/Javascriptのエキスパートになれというのではない。ただ雇用主も移行を検討するだろうし、答えられるようにしておく必要がある。
    • Flashコミュにティについてもこの機会はチャンスでもある。
      • 全てFlashコミュニティで対応していた。こういったタイプの仕事を。
      • Flashを使って満足されている場合は使って行けば問題無い。
      • そしてまたHTML5を使う事を決めたならば、ベストなツールを提供して行きたいと考えている。
  • Q:答えにくいかもしれないが、iPhoneFlashを搭載していたらモバイルから撤退していたか?
    • 今回の件は幾つかの理由があり、中止に至った。
    • モバイルプラットフォーム上でHTML5のブラウザが成熟してきたというのもあった。
    • Flash Playerをモバイル上で開発し維持してくのが大変だったというのもある。
    • コストという面ではオープン上で問題無かったのだが、モバイル上ではクローズな環境。
    • ブラウザベンダーなどなどと協力していくのがモバイル世界では難しい。
      • アップデートの際の手間が掛かる。
    • 長期的に考えて、拡張可能性
    • 日本のマーケットは世界と比べてユニークではある。
    • 一般的に言うとアプリに求めているものが重要。

一番最後の質疑応答で交わされた内容の部分が、『撤退』に関わる部分の理由の一旦になっていたようですね。魅力的な環境とはいえ、やむを得ない選択だったのでしょう。

ここまでで約50分程経過。10分程の休憩を挟んで次のセッションへ。

Flash Runtime Roadmap

  • Thibault Imbert氏
  • Tom Nguyen氏

こちらのお二方の講演については、結構デモが多目で最新且つ専門的な情報が多かった(自分の現在の状況ではあまり把握しきれなかった)ので、簡単なメモと写真で雰囲気だけでも(笑)Togetterにも関連のつぶやきが多くされていますので、そちらのつぶやき若しくはUPされるであろう他の方の詳しいエントリを参考にして頂ければと思います。

  • Flash is the Console of the Web
    • Webに対するコンソール:リーチ、一貫性を提供。
  • Stage 3Dにおいて新しいフィーチャーを導入。
    • 2D/3Dのコンテンツにおいて、GPUを適用。
    • デスクトップでこの技術を活用→モバイルにも適用可能。
    • AIR用のStage3Dは2012年初頭に対応予定。
  • 色々なデモの実演
    • Casual 3D/3D gaming/2D on the GPU and More...




  • Flash Player 11とAIR 3は現在利用可能。(年末までに80%のカバー率)
  • 構成は以下のような形で考えている。


  • Starling-framework.org
    • githug上で入手可能。


  • 3Dを作っていく事の有効性
  • エコシステムのモデルを作っている
  • Flare 3D:デモ実演。
  • Native extensions for AIR
    • コミュニティの方々から強い要望があった。
    • AIRのランタイム拡張。
      • 出たばかりの新しいデバイスについて開発する必要が生じた場合、
      • ネイティブプラットフォームとAcrionScriptのラッパを提供することで
      • 拡張することが出来るようになる。
    • 子供向けの教育ツールとしても使える。
      • Flashを使ったアニメーション


  • Tomorrow:2012年初頭〜2012年中旬の直近の予定。


  • sneak preview!/モノクル
    • Flash Playerのリリースバージョンと接続してプロファイル情報を取る事が出来る。
  • 質疑応答:
    • [Q]:Stage 3DがサポートするiOS/Androidのバージョンは?
    • [Q]:Stage3Dの機能が劣っている。OpenGL ES2関連の機能を実装する予定はあるのか?
      • [A]:劣る点:色々なプラットフォーム上で安定して動く事を重視していた。
        • きちんと安定動作しないものを提供してしまうよりは、全ての環境で安定して動くものを。
    • [Q]:Stage3Dリリース、インキュベータリリースでは動いていたが動かなくなった。グラフィックスカードが検出されない。Windows環境ではGPU環境が入っていない場合もある。
      • 聞きたいのはGPUの統計情報があれば教えて欲しい。
    • [A]:2009年以前のものについてはブラックリスト化して動かないようにしている。(前に色々話していたが把握出来ず。m(_ _)m)


…というわけで時間にておよそ2時間半、21:30頃までセッション及びディスカッションが続きました。私はこの時点で帰宅したのでしが、会場的にはまだまだ時間に余裕があり(延長した)、最終的には23:00頃までイベントは続いていた模様です。(アプリケーションソフトののプレゼントジャンケンもこのタイミングで開催されたようです。)


今回の報道で『Flashオワタ』等と書かれたりはしていますが話を聞く限りではそんなマイナスのイメージでも無かったのかな、と言う印象でした。とは言え私達開発者・技術者・デザイナーはFlashは勿論、HTML5についても情報をキャッチアップし、スキルを身に付けて行かなければならない、より一層切磋琢磨して行かなければいけないなという点も実感した次第です。


イベントに来た記念として、今回もAdobe社製の卓上カレンダーを頂きました!この時期のAdobe/FxUG関連イベントにはこの『卓上カレンダー』欲しさに訪れる、という側面も個人的にあったりします(笑)これで来年も一安心♪

その他関連エントリ: